虫歯と歯周病は犬猿の仲ってホント?2つの感染症の違いとは?

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    歯を失う原因の多くは、虫歯と歯周病。厚生労働省が行なった全国抜歯原因調査結果(2005年)によると、歯を失う原因で最も多いのは歯周病(42%)、ついで虫歯(32%)となっています。歯を失くす原因となる感染症ということで、一緒にされがちな虫歯と歯周病ですが、2つの成り立ちは似て非なるものです。細菌の種類も、感染ルートも、病気の進行の仕方も、2つの病気はそれぞれまったく異なるのです。 では具体的にどのように違いがあるのでしょうか。今回は虫歯と歯周病の違いについて、いろんな角度から探ってみましょう。

    虫歯と歯周病の決定的な違い 虫歯は「歯」、歯周病は「歯茎と骨」の病気

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    一番わかりやすい違いは、虫歯は歯の病気、歯周病は歯茎と骨の病気だということ。そのほかにも細菌の違い、治療方法などに違いがありますのでポイントごとにご説明します。

    【発症場所】
    虫歯:歯に発症する病気です。虫歯の細菌は食物に含まれる糖質を餌に増殖、歯を溶かし、痛みを発生させます。
    歯周病:歯茎と骨に発症します。歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)で増殖、歯茎を腫れさせたり、周囲の骨を溶かしたりしますが、悪化するまで痛みはあまり出ません。

    【細菌の違い】
    虫歯:虫歯の細菌はほぼミュータンス菌で、常在細菌もしくは親から子どもへ感染することがいわれています。酸素を好む好気性菌であり、歯の表面に付き食べ物に含まれる糖質をエサとして虫歯を起こします。
    歯周病:歯周病を起こす細菌は300種以上とも800種以上ともいわれ、その中でもA.A菌、P.G菌、P.I菌という3種が注目されています。どの細菌も外部から感染する酸素を嫌う嫌気性菌で、空気が届かない歯周ポケットなどで増殖、周囲の組織を破壊します。

    【治療方法】
    虫歯:虫歯の部分を削り、詰めものをします。削り残しがあると再発の可能性が高まります。また、進行すると歯の神経を取る、さらに歯を抜くという処置が必要になることがあります。
    歯周病:原因となる細菌を減らす必要があります。セルフケアのほか、歯科医院でのクリーニングなどが有効です。進行すると歯茎を切開して奥深くの細菌・歯石を除く手術を行うこともあります。さらに周囲の骨が解けてしまった場合、抜歯を視野に入れる必要もあります。
     

    虫歯になりやすい人となりにくい人、その違いは?

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    「毎食後ケアを欠かしたことはないし、歯医者さんにも定期的に通っているのに虫歯になる」という患者さんが時々いらっしゃいます。一方で歯磨きは1日1回、歯科医にかかった回数も少ないのに虫歯にならないという方もいます。この差はどこから来るのでしょうか。主な理由として細菌の数、唾液の分泌量などがあげられます。

    理由その1:ミュータンス菌の数
    ミュータンス菌はもともと口の中にいる常在菌や感染によるものと考えられています。この常在菌がはじめからいない、または母親や父親など周囲の人から感染しなかったという人が、虫歯になりにくい人といえます。

    理由その2.唾液の分泌量
    お口の中で唾液は多くの役目を果たしています。その一つがpH(ペーハー)の調整。食事をすると食物や細菌によってお口の中が酸性に傾きますが、これを中性に戻そうと働きかけるのが唾液です。酸性のままだと虫歯になりやすい状態といえます。また、唾液には歯の再石灰化を促す働きがあり、歯の修復を図ってくれます。これらの働きも唾液が充分に分泌されてこそ。お口の中が乾燥しやすい人は、虫歯になりやすい傾向があります。

    虫歯菌の数、唾液の分泌量、どちらもその人の生まれもった特性や環境によるところが大きく、虫歯になりにくい人はある意味ラッキーな人といえるかもしれませんね。

    虫歯が多い人は歯周病になりにくい ウソ・本当?

    歯の治療イメージ
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    「虫歯が多い人は歯周病にならない」という噂を耳にすることがあります。時々患者さんから「本当ですか?」と聞かれることもあります。

    その答えは、半分本当で半分嘘です。

    まず、本当だといえる根拠から説明します。歯周病と虫歯は性質が異なる病気であるというのはすでにお話しました。それぞれの細菌は、どちらか一方の細菌が増殖すると、もう片方が減るというという犬猿の仲のような性質があります。虫歯と歯周病の関係を調べた文献によると「歯周病にかかっている人は歯周病菌は多いが、虫歯菌が少なかった」「虫歯にかかっている人は虫歯菌は多いが、歯周病菌が少なかった」という明らかな研究結果が出ているのです。(「歯周炎とう蝕との関連」日本歯周病学会会誌 50(suppl-spring): 132-132, 2008.)

    反対に、嘘だともいえる根拠はプラーク(歯垢)の存在です。プラークは虫歯、歯周病どちらも大きな原因であり、お手入れを怠ってプラークが溜まればどちらにもなる可能性が高まります。実際診療をしていますと、歯周病と虫歯、両方患っている患者さんもいらっしゃいます。逆にきちんとお手入れがなされている方は、虫歯・歯周病、どちらも少なく感じています。

    こういったことから、その人のお口の中の状態、お手入れの頻度などを個々に考える必要があり、「虫歯が多い人は歯周病になりにくい」とは一概にいえない、といえるのではないでしょうか。
     


    自分が虫歯・歯周病、どちらになりやすいか気になる方、お手入れをしているのに虫歯になってしまうという方は、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。

    多くの歯科医院では、唾液検査や細菌検査を行っています。唾液検査は唾液の量を計測したりミュータンス菌の存在を調べたりするもの、細菌検査は細菌の量や種類を調べるものです。どちらも簡単に受けられる検査で、予防に役立てることができますよ。お口の中のリスクを把握し予防することで、虫歯や歯周病のリスクを減らしましょう。
     

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